「さ、日向！懐かしいけど覚えてるか？」

威勢よく手をたたいて声を張り上げた貴未は日向の意識を自分の方へも向けさせる。

しっかりと目が合えば満足そうに笑い近くにいた女性に手を向けた。

「リンの国で会った、マチェリラと圭だ。」

名前を呼ばれた二人はそれぞれ反応を示し日向の視線に応える。

名を聞いて甦る記憶、確かに見覚えがあって当然だった。

「ええっ！？二人こんなに綺麗だったっけ！」

日向の嬉しい驚きに圭とマチェリラは思わず頬を染める。

「と、当然よ。ねえ、シャーレスタン？」

「ありがとうございます、日向さん。」

照れて素直になれないマチェリラを補佐するように圭はお礼を伝えた。

恐縮して頭を下げる日向を見て二人は微笑むが会話はすぐに千羅へと戻される。

「日向、祷との相性はどうだ？」

「相性っていうか、頼りになるパートナーだよ。」

「そんな…ありがとうございます。」

千羅の言葉から始まった和やかな空気は日向にとっては久しぶりに感じる落ち着く空間だった。

千羅、瑛琳、祷と話込む日向をマチェリラと圭は厳しい顔で見ている。

「どう、感じる？」

二人の横、日向には背を向けて貴未は話しかけた。

「いいえ、前と同じ。古の民かどうか分からないわ。」

視線を日向に向けたままでマチェリラが答えた。