「日向！？どうしたんだ、ぼろぼろじゃないか！」

駆け寄る千羅に意識を戻し、慌てて自分は大丈夫と手を振る。

「何かあったのか？」

「えっ！？ううん、ちょっと修業を…。」

心配をかけまいと懸命に振り続けるその手を優しく取り、いつの間にか傍に来ていた瑛琳が微笑んだ。

「回復魔法をかけるわ。こっちへ来て。」

手を引き近くにあった椅子に日向を座らせる。

久しぶりに感じる暖かい空気に日向はとまどいを隠せなかった。

「無茶し過ぎだろう。加減をするのを必要な能力だぞ？」

「昔の千羅みたいね。」

「だったら尚更危なっかしくてハラハラするぜ。」

この二人との会話もいつ以来だったろうか。

くすぐったいような恥ずかしいような、落ち着かない気持ちで周りを見た。

そしてまた二人の女性へと意識が移る。

「随分と力が強くなったんだな。伝わってくる。」

「本当？」

千羅の言葉に嬉しくなり離れた意識を取り戻して日向は笑顔になった。

千羅は微笑ましく頷くと視線だけで瑛琳に同意を求める。

瑛琳もまた優しく笑みを浮かべて頷いた。