「お前をここに置いておく訳にはいかないって…てっきり厄介払いかと思ってた。」

日向の言葉に貴未は微笑む。そうじゃないのだと日向はきっと思ったのだろう。

「分かるのはカルサが日向を安全な場所に移動させたってことだ。厄介払いだったら迎えになんて来ないでしょ。」

「…そうかな。」

「判断するのは日向だけどな。」

再び歩きだした二人は他の仲間がいる部屋へと向かった。

カルサの本心が知りたい。本当のカルサが知りたい。

日向の中でその気持ちがどんどん膨らんでいく。あの人は一体どんな人なのだろう。

貴未の中に大きく位置する存在、すごく慕っていることはすぐに分かった。

それに周りからの信頼も絶大だ。

まだ笑った顔を見たことがない日向にとって、カルサという人物は遠い存在でしかない。

いつかは人間らしい一面を見ることが出来るのだろうか。

「着いたぞ。」

いつの間にか辿り着いた食事部屋の扉を開けると、そこにはいくつかの見慣れた顔が日向を出迎えた。

「皆、日向を見つけた!」

貴未の元気な声に一斉に視線が集まる。

貴未たち、というように複数で来たことは感じていたが思ったよりも多いことに驚いた。

そして見慣れた顔以外の知らない顔が二つあったことに気が付き瞬きを重ねる。

金のような銀のような明るく鮮やかな色の髪をした女性と漆黒の髪の女性。

どこかで見た事あるのか、日向は二人の女性が気になった。