「…無茶なんてする訳無い。」

いつの間にか傍にいたラファルの身体を愛しそうに撫でる。

ラファルがいる事でカルサの心は何度も救われた。物言わぬ友人、それでもカルサにはラファルの声が聞こえているのだ。

今もきっと心配をしてくれている。

「もういい加減、自分の戦場に行かないとな。」

まるで自分に言い聞かせるように口にした。

「千羅。」

カルサに呼ばれるとすぐに彼はその姿を現す。

カルサの斜め前、いつものように片膝ついて頭を下げカルサの声に応えた。

「ここに。」

「頼みがある、今から言う人物を張ってほしい。」

少し低めの声に彼の覚悟と緊張を感じられた。

「例の二人、ですか?」

千羅の言葉にカルサは頷く。

カルサと千羅、二人の視線がぶつかり少しの沈黙が生まれた。

お互いにその表情はとても険しく瞳の奥の感情を読み合っているのかもしれない。

「分かりました。」

「…頼む。」