聖とのやりとりの後だけに少し緊張しながらの質問だったがカルサの中では既に気持ちの切り替えは終わっているようだ。

「その内、だな。俺の思いは動き始めているから近い内に分かる。」

「思い?」

「そう、思い。きっと分かる。」

さっきまでは幼い表情を見せたかと思えば今は優しく穏やかな表情をしてみせる。

どちらがカルサの本質なのかサルスは迷ってしまった。

まるで魅せられているような感覚がサルスの中で起こっていく。

きっとこれ以上は話すつもりは無いのだろう。

ざっくりとした質問に同じ様な程度で返してくるあたりがカルサらしいと言えばそうだった。

「頼むから無茶な真似だけはするなよ?」

「分かってるよ。」

逸らさずに真っすぐ向けられる視線、サルスはそれを信じるしかなかった。

ここでの話はもう終わりだ。

そう察するとサルスは立ち上がりまとめていた書類を抱えた。

「城内の見回りに行ってくる。」

「頼む。」

カルサの声を背にサルスは部屋から出ていく、それと同時にカルサから僅かな笑みも消えた。