「付き合いましょう、この身が果てる迄。」

ハワードは身を屈め、片膝をついて敬意を示すように頭を下げた。

「貴方さまにお仕え致します。サルスパペルト陛下。」

それはいつか見た記憶、懐かしい光景が目の前に広がっている。あれはカルサと二人で王位を継ぐと決めた時、ハワードは同じ事をしてくれた。

貴方さまにお仕え致します、カルサ陛下、サルスパペルト殿下と。

「ありがとう。」

その日一番の穏やかな瞬間だったかもしれない。


その後、各代表者を集めた大規模な会議が大広間で執り行われた。カルサも出席し伝えられたのは被害報告と現状報告、新たな人員配置案、そしてカルサが特殊部隊を率いて魔物退治に出るという事だ。

今回の襲撃において発覚した、魔物の群れを全滅させる為だと告げられる。

動揺や不安の声が囁かれるかと懸念したが、この襲撃の後だからだろう、期待の歓声があがった。誰もがカルサに期待し、信頼している証拠だった。

それから五日後、討伐という名の旅立ちの日がやってきた。

約束どおりに貴未はハワードを訪ね言葉を交わす。誰も目が覚めぬ夜明け前、静かに城の門は開かれた。


そうしてカルサは少数の兵士を引き連れて城を後にしたのだ。





御劔 光の風 <第二の襲撃> 了