ただ背中を向けたまま何も話さない。

息が整った紅はため息を吐きながら聖の肩をぽんぽんと叩いた。

「うちの事か?」

聖の反応はない。

頭の中でまだ整理がついていないのか、ただ話したくないだけなのか彼は身体さえも動かさなかった。

「なあ、お茶でも飲みにいかへん?ナータックさんの様子も見にいこうな!」

話題を変え明るく振る舞う紅に聖は微笑んだ。

気を遣わせてしまった、そう感じたのだろう。

感謝の気持ちを込めて彼女の言葉に答える。

「せやな。」

「決まり!ほな行くで!今日こそ意識戻るとええな。」

聖の反応に嬉しそうに笑うと軽く彼の背中を叩いて歩き始めた。

先を歩く紅に聖はついていく、彼らはまたいつもどおりの雰囲気を取り戻した。



「なあ…カルサ。」

二人取り残された部屋に響いたのはサルスの声、カルサは視線だけで反応を示すとサルスは続けて口を開いた。