「用件はなんだ？」

周りに人の気配がしなくなったのを確かめてからカルサは話を切り出す。

席を立つ前に声をかけられたカルサは座ったままな為、ハワードに近くに来るように促し彼を座らせた。

こういう時の彼の話は短くはないのだ。

「陛下が戻られてから…どれほど経ちましたかな。」

座るなり発せられたハワードの言葉にカルサは動きを止める。

手元にあった視線を向け目を細めると、弁解もせずに彼に答えた。

「やはり気付いていたか。」

返事の代わりにハワードは軽く頭を下げる。

付き合いが長い分カルサの雷神としての仕事にも理解があり、必要あるときは話していた為にある程度のことは把握していた。

しかし今回のことは誰も伝えていない、ハワードはカルサの言ったように自ら気付いたのだ。

「長きに渡る国王としてのお働き、そして戻られてからの秘書官としてのお働き。殿下を働かせ過ぎではありませんか？」

「そこまで知っていたか。」

カルサに扮していたのはサルスであったことにも気付いていた、ハワードの言葉にカルサは切なそうに微笑む。