「こことは違う国に答えがあるんだ。生きているかどうか分からないけど、知り合いがいる。」

空間が違うと時の流れも違うからと貴未は続けた。

貴未がシードゥルサにいる間にどれだけ時間が流れているか分からない。

一瞬かも、千年かもしれない、それでも賭けるしかないのだ。

「ついていくよ?僕に役目があるなら付いていく。」

日向の素直な言葉は貴未の緊張をほぐした。

だから安心してくれと言われているようで照れくささから少しはにかんで頭を掻く。

「ありがとう。」

ヒの国と同じ世界にある別の国に目指していることがある。

ここにくるまで長い年月を要したが、ようやく辿り着けるのだ。

ようやく、そう思うと呼吸が震えだした。

場所は覚えている、ここからなら一気に飛んでいけそうだ。

「日向、しっかり掴んでろよ?」

その言葉の意味を理解すると日向は貴未の方に手を伸ばした。

彼の温もりを感じると貴未は懐かしい場所へと翼を広げる。

さあ行こう。

自分で背中を押して貴未はそこから飛び立った。