日向は日向なりの覚悟を持って町を出てカルサたちを助けてくれたのだ。

それを感じ、貴未はほんのりとくすぐったい気持ちになった。

「お前強いな。」

「ううん、僕なんか全然。カルサさんを目覚めさしたら何にもやる事ないもん。今回もとりあえず呼ばれたから付いてきちゃっただけだし。」

「強いのは心だよ。」

謙遜か本心か苦笑いで手を振る日向に貴未は彼の頭をぽんぽんと叩きながら言った。

貴未の言った言葉の意味がよく分からず日向はただ貴未を見ている。

「それに今回も日向の力が必要だから呼んだんだ。こっちは助かってる。」

ヒの国は日向のいた世界、そして聖と紅奈のいた世界でもある。

より正確にここに来るには日向の持つ記憶と軌跡が必要だった。

「俺がシードゥルサに辿り着いた時、俺の力は今よりも未熟だった。」

初めてカルサに出会った日、それは事故でシードゥルサに飛ばされた日でもあった。

やがて聖と紅もシードゥルサにやってきて、貴未が空間を自由に飛べる力を扱えるようになった時にはヒの国からの二人の軌跡は既に消えていたのだ。