しかしそれも束の間、カルサを始め誰もが貴未に視線を集める。

「何から話せばいいかな…。」

とりあえずと貴未が口を開く、あれだけの騒ぎは換算するとほんの一日の出来事だったのだ。一瞬にして全てを燃やしつくす炎のような襲撃。

ずっと続かないことに運の良さを感じてもやはり燃えカスが心の中で沈殿している。

「あ。ちょっと待った。カルサ、日向はどこ行った?」

ふと疑問が浮かんで貴未はカルサに向けて手を挙げる、カルサの表情が気まずそうなものに変わったことを皆見逃さなかった。

「俺が逃がした。」

「逃がしたって、何の為に?」

「あいつの命を守るために。」

カルサの言葉はあまりに直球すぎて貴未には理解が出来なかった。カルサと日向が話しているのを見たことがないのだ、正直その状況が想像できない。

「なんか、カルサが日向にそんな気を遣うとは…意外だな。」

貴未の言葉にカルサは目を丸くする。

「私もそれは意外に思っていました。」

続けた千羅の言葉に瑛琳もマチェリラも頷いた。周りのそんな反応に意外だったのがカルサという、不思議な状況が出来ている。

「そんなに意外か?」

恐る恐る聞いた言葉に皆が勢揃いで頷いた。

「私、カルサトルナスは日向に興味がないんだと思ってた。」

「マチェリラ、俺はさすがにそこまで非情じゃない。」

「そうかしら。」

「確かに関わろうとはしなかったが、それは日向の為を思っての事だ!」

「日向の?」

カルサとマチェリラとの掛け合いに貴未の疑問が入る。