「自分に結界を張っているのね。」

「セリナという子を探しているの。」

切実な声、それでもリュナの気持ちは揺るがなかった。

ロワーヌの声に耳を傾けるつもりはない、リュナは静かに右手に風を集め剣を作った。

それを横目で確認し、再びロワーヌに視線を戻す。

「帰って。ここにはいない!!」

ロワーヌの思いにリュナは剣を構えまるで突風のように瞬間的に近付いて勢い良く両手で剣を振り下ろした。

その瞬間、誰かの悲鳴が聞こえた気がする。

「なに…っ!?」

リュナが息を飲んだ瞬間だった、覚悟をして身構えていたロワーヌも同じ様に息を飲む。

「永!?」

リュナは思わず後ずさり一定の距離を置いてもまだゆっくりと下がり続ける。かろうじて手にしている剣が彼女の気持ちの強さを表しているように見えた。

ようやく止まった時はロワーヌの全身を見渡せる程、そこにはまるでロワーヌを守るように包む白い翼があった。

しかしどこか微弱な白、よく見ると透けている。

「何、この光…?」

思わず口に出てしまった。

微弱な翼は瞬くように光輝くことで強さを見せているようだ、しかし時間と共にそれは消え失せていく。

リュナとロワーヌを隔てていた物が薄れていく間、まるで時間の流れが遅くなっているかのように感じさせた。

「リュナ!!」

後ろからかかった声に振り返ると息を切らしたカルサの姿が映る。