外陰を頭から覆いかぶっていて顔は良く分からない。

多少距離はとっているものの、リュナは本能的に風の壁を厚くした。

レプリカは起き上がってリュナをかばうように前に出る。負傷した身体でどんなに睨みをきかせても、嘲笑ってかわされているように思えた。

「貴女、本当に風神リュナ・ウィルサ?」

少女の声にリュナは疑問符が頭の中に浮かんだ。

しかしレプリカは警戒心をより強くする、その反応は少女にも伝わったようだ。

「そういう事。成程ね。」

少女は含んだような声を出すと口元に笑みを浮かべながら外陰を頭から外した。

その素顔は驚く位あどけない顔をした少女。深い碧い瞳に長いまつげ、肩程のさらさらとした髪を風になびかせ冷たい目で微笑んでいる。

「初めまして、風神。私はライム。」

二人はいっそう気を引き締めて身構えた。

いくら少女とはいえ大人になる数歩手前ほどのライムは雰囲気からだろうか少し色気を感じられた、そして油断ができないと思わせるそんな雰囲気さえも感じられたのだ。

「ねえ、雷神はどこ?」

ライムの言葉は疑問符を生み出すがリュナは答えるつもりは無かった。

「貴方が魔物を連れ込んだの?」

「雷神を捜しているの。」

「貴方が、城門を破壊したの?」

我を通そうとするのはお互い様の様だ、二人の睨み合いが続いているが互いに怒りを露にしている訳ではなく、真実への追求だった。

「貴方、じゃなくて。私の名前はライムよ、風神。」