そう言うとリュナはレプリカと腕を組み、自分の周りに風を召喚した。何かをする、レプリカがそう構えた瞬間だった。

「危ない!!」

レプリカは危険を感じ、リュナをかばいながら地面に伏せる。何かが二人を目がけて乱射されてきたことに気が付くと同時に小さな悲鳴が聞こえ、リュナは風の壁で自分たちを守るように結界を貼った。

結界に弾かれるその様子で乱射されていたのは水であると知る。

戦闘態勢をとるべく急いで起き上がると上に乗っていたレプリカの出血に気が付いた。

「レプリカ!!」

苦痛の表情で歪ませるレプリカをゆっくり起こして怪我の具合を診た。

左肩と左足から血がにじみ出ている、傷の状態までは分からないが出血は多い。

「大丈夫です。それより敵を!」

レプリカの視線の先にリュナも合わせる。上空にそれはあった。

人影、それは分かるがいまいち輪郭までは分かりにくい。

「誰!?」

リュナの声が空に響く。

「風神、リュナ・ウィルサ?」

空から下りてきた声にリュナとレプリカは動きを止めた。

なんだろう、今の声は確かに空に浮いた人影からのもの。しかし全く予想外のものだった。

若く幼さが残る高い声、それは可愛らしい少女と呼べるほどの声だった。

「女の子…?」

思わず声に出してしまったのはレプリカの方だった。そして怪我を負いながらも自然と手はリュナをかばう様に動く。

「間違いないのね。」

二人の反応から確信を得たのか少女はゆっくりと二人に近付くように渡り廊下の手摺りに降り立つ。