「陛下を捜さないと。」

そう言うとリュナは左手で小さく宙に円を描き、そのまま扉の方へ指先を向けた。彼女の指先の軌跡は風を生み、そのまま扉の方へと流れていく。

「風に陛下の反応が捕まるまで待ちましょう。」

「リュナ様、靴をお履きください。」

リュナが再びレプリカに視線を戻すと彼女は足元に屈んでいた。

靴を差し出してそのままリュナの足を待つ、リュナは初めて自分が裸足であることに気付き慌てて足をはらって靴を履いた。

「ありがとう、レプリカ。」

リュナの声に微笑むと立ち上がって着崩れた上着を直し始める。

まるで子供の世話をするような感覚に似ていると恥ずかしくなるが、素直に甘えておこうとリュナはされるがまま大人しくする。

「お身体は辛くないですか?」

「ええ。何ともないわ、戦える。これなら陛下のお力になれるわ。」

気合を入れて笑みを浮かべるリュナに対しレプリカは寂しげに微笑むだけだった。

そんな二人の間に風が寄ってくる。

「陛下を見つけたわ。行きましょう!」

一変して厳しい顔つきになるとレプリカも同じ様に頷き、二人は目指す場所へと走りだした。

導を持っているのはリュナだ、レプリカはさっきまでと同様にリュナの背中を追う形をとる。

走って走って中庭に面した渡り廊下に辿り着くと、リュナは小さく呟いて足を止めた。

「リュナ様?」

「ちょっと距離があるわ。一気に行きましょう。」