「桂、頼むぞ。」

小さい声で力むと、カルサから飛び出るように光の竜が勢い良く天へ駆け上りやがて複数方向に散りばって放物線を描くように地上に落ちた。

そこまではただ何となくの綺麗な光景だった気がする。

しかし光は鋭い爆発音と共に砕け散り、カルサたちがいる場所から見える地上全てが爆煙で囲まれた。

爆風こそ届かないが大気の揺れは感じて身体が震える。

「すげえ。」

ゆっくりと手を下すカルサに向ける訳でも無く、自己処理の為に貴未は驚き混じりの声を呟き風と共に消した。

それぞれが爆煙へと目を向ける。

「光の精霊・桂の力ね。一体化もせずにここまでやれるなんて…これで少しは減ったかしら?」

「いや、一握りでしょう。相手は数でしかけてくるはず。」

「消耗戦ってことね。」

マチェリラと千羅が静かに言葉を交わし、その間に貴未は冷静さを取り戻していった。

思えばこういう力を持った人物ばかりなのだと改めて自分の周りにいる人材の凄さを気付かされたのだ。

「それでも時間は作れたはずだ。」

カルサの強い声が三人の気持ちを引き締めた。

「リュナの所へ行く。ハッキリさせておかないと…もしかしたらこの襲撃や因縁に関わりがあるかもしれない。」

「少し様子がおかしいと瑛琳が言っていたわ。」

「ああ、聞いている。部屋に向かうぞ。」

言葉の終わりは少し迷いがあるように感じられたが、それでもカルサは前を向いている。

声をかけられた千羅は頷くとどこまでも傍にいる姿勢を表した。