きっと心の導になるカルサからの贈り物を優しく振れては撫でていく。

自分の道を見付けるべく思案しているリュナを見つめ、カルサは遠くなりつつあったリュナの視線を自分の許へ引き寄せた。

「カル…。」

「ついて来い。」

「え?」

今からどこかに行くのだろうか、そういう思いも込めてリュナは疑問符を浮かべて首を傾げた。

「これから向かう場所を…俺が示す道について来い。」

リュナは驚きのあまり声を詰まらせてしまった。

それは物理的な今の話ではない、この国を出ることになったリュナへの言葉だった。

耳元で光る石よりも濃く鮮やかに光る双眼がリュナを捉えて離さない。

その目の熱に当たりリュナの瞼が熱くなった。

「道は必ず作る。俺たちを信じて今は耐えてくれ。」

必ず、その言葉にリュナの闇がどれだけ晴らされただろうか。

痛くも苦しくもある光はこれほどまでにリュナを満たし支えてくれるのだ。

忘れていた訳ではない、今までずっとそうやって光と共に生きてきた。

「…はい。」

少しうわずった声がリュナの感情の昂りを表しているようだ。

抑えきれない涙が目元に浮かび静かに流れた。

別れではない、未来への約束の為に渡されたようで耳元に付けられた飾りがより一層愛しく感じる。

リュナの返事を受けてカルサも微笑みをもらした。

そして次に自分が進むべき段階を目の前にして決意の表情を見せる。

「俺は…王位をサルスに渡す。」

カルサの言葉は静かな夜に響いた。