胸元やお腹辺りに回されたリュナの手を見て思う。

それは次の瞬きが終わるまでの短い時間で、再び開いたカルサの目は何かを秘めた強い輝きを持っていた。

「ヴィアルアイはウレイを狙う。それは太古の国から続く因縁そのもの。必ずまたヴィアルアイは俺の目の前に現れる。」

どれだけ避ける手立てを考えてもそれはどうしようもないことだった、それだけにカルサの言葉の重みと猶予の無さを感じる。

「…はい。」

「逃げても意味がない。」

「はい。」

カルサが口を開いて言葉を紡ぐたびにリュナの目は切なく揺れた。

このままではきっとカルサはある到達点に自分の目標を掲げて進もうとするだろう。

「俺はいずれこの身を捧げてヴィアルアイをたお…。」

「違います!」

リュナはカルサの言葉を遮って声を張り上げた。

そしてカルサの前に回りしっかりとその目を見つめてもう一度口を開く。

「救うんです!ヴィアルアイを…貴方が救うんです!」

驚きを隠せず目を開くカルサにはまだ強く伝わっていない、リュナはカルサが手にしたままの種火に目を向けて口元に力を入れた。

僅かな灯火に誰かを重ねたのだろうか。

「苦しいのは…誰?」

再び向けられた視線にカルサの中の何かが揺れた。