二人で訪れたあの時、確かに別々に行動する時間は長くあった。

おそらくそのどこかで立ち寄ったのだろう。

そしてその時間には少しばかり心当たりがある。

明らかに様子がおかしかったのはラファルが現れたあとからだったのだ、きっとあの時間までに何かがあったのだろう。

「初めてウレイの墓を見て…身体が声をあげたのを感じたんだ。」

「声?」

「声というか…血が騒ぐというか…とにかく強い反応を示した。」

そう言うとカルサは静かに目を閉じてあの時のことを思い出した。

惹かれあう身体と墓、そして泣きたくなるほどの切ない感情に包まれたあの瞬間に全てを悟ったのだ。

「これは俺の身体だと…ウレイに言われた気がした。…いや、気がしたじゃないな。そこに辿り着いたと思ったんだ。」

何故違う属性であった自分が光の力を操る人間に惹かれたのか分からなかった。

玲蘭華にとって都合が悪くなるように念じた自分が運命の歯車に勝ったのだろうかと淡い思いを抱いたこともあった。

しかしやはり歯車はカルサを巻き込んだままだったのだ。

勝ったどころではない、一番効果的な形でカルサを利用しているのだと悟った瞬間でもあったのだ。

「リュナ?」

カルサが名をリュナの手はまるで涙をぬぐうように目元にあてられていた。

しかしカルサからは涙は零れる様子は無い。