リュナはとっさに掴んでいる手に力を込めてカルサの動きを封じようとした。

何かカルサが壊れる寸前の様な気がしてリュナの心は落ち着かない。

「俺が彼を喰ったんだ。だから俺がカルサとしてここにいる。」

衝撃的過ぎて何も言葉が出せない、浮かびそうな言葉もとりあえずの声も全て何かに吸い込まれてしまったようだ。

しかしリュナは本能的にカルサを支えようと懸命に首を横に振って答えていた。

違うと、自分で望んだことではないとカルサの存在を肯定する為に首を振り続ける。

「この身体は光の力を使う。それはウレイである証。」

そう言ってカルサは空いている方の手を掲げて掌から稲妻を召喚した。

バチバチと音を立てて輝くそれらは何故か強さを感じさせない。

「この国は…かつて太古の時代であった頃にウレイが統治していた領地だ。王族と交流があったという竜の話はおそらく…桂たち光の精霊のことだろう。」

稲妻の中に降り立った光の精霊・桂はカルサの話に合わせるようにその翼を広げてカルサの手にとまる。

王族の部屋にある無用心とも思える広いバルコニーは竜が羽を休めるようにと設けられたものだという、それは桂たち光の精霊の為だとしたらまさしくこの国は光の戦士が治める場所だったということだ。

「ヴィアルアイがまっすぐにこの国に来たのも、ここにウレイがいると思っていることも…それはこのシードゥルサがかつての中心世界オフカルスから切り離された土地だからだ。古の民の血を受け継いだ者が特殊能力というものを持って存在しているのも全部その所為だろう。」

この話は初めて聞くものだ。

そう理解したリュナは今までカルサから聞いてきたことを急いで頭の中に巡らせた。

何を感じ何を思いながらここまで生きてきたのだろうかと考えずにはいられない。

「総本山に…オフカルスに行ったとき、太古の神官たちの墓に立ち寄った。」

その話も知らされていないことだ。