いつかはカルサの役に立とうとその思いはリュナの中で大きな導となり今ここにいるのだ。

過去の自分よりもこれからの自分を作っていこうという思いリュナは余計に前を向くようになった。

結果、自分は風蝶の婆の孫であるという形が出来上がったのだ。

リュナはもちろん婆もレプリカもそれでいいと喜んでくれた、誰もその思いを疑わなかった。

「リュナ。」

涙が流れていくたびにドロドロになった感情が吐き出されていくのが分かる。

次第に諦めという頭の整理がついていく中で恐ろしい現実が明らかになっていった。

実感がある訳ではない、でも頭では驚くほど冷静にこの先を考えていくのだ。まるで他人事のように。

「…私はもう、この国には居られませんね。」

かける言葉がないのかリュナの考えの行く末を見守っているのかカルサは何も言わなかった。

「でも何処にいけばいいのか…。レテイシアしか無いのでしょうか。」

カルサが重要視するように出してきた場所の名前を思い出す。

ここにしか居場所がないと教えてくれるかのような前振りだったと苦笑いがこぼれた。

「でもそこに居て…私は役に立てますか?」

自身の腕を掴む手に力が入る。

「カルサの言う最後の時に…私は隣に立てるのかな?」

約束をしたときの記憶がリュナのこれからの導になるのだ。

カルサが言ってくれた我儘を聞くことがリュナの最大の役割なのだ。

それさえも失ってしまうような自分自身の在処に憤りも怒りも何も沸いてこない、ただ悲しみしか存在していなかった。