今は一体化された社が表に現れることはそうそうない、おそらく一体化する前にカルサの前に現れ会話をしたのだろう。

とすればかなり前の話だ。

目覚めてすぐの頃の話だろう、そう思うとリュナの心は落ち着きを取り戻すどころか乱れていった。

「もう一度聞くぞ、リュナ。」

俯いていた顔が上を向かされる、リュナは震える気持ちを抱えてカルサに向き合った。

「お前の両親は誰だ?」

カルサの言葉にリュナは目を閉じて険しく眉を寄せる、そしてゆっくりと首を横に振ると口を開いた。

こればかりはどうしようもない、その思いで震える声を絞り出した。

「…本当に知らないの。」

ごめんなさい、そう呟くとリュナはその場にしゃがみ膝を抱えて泣き始めた。

彼女の中には後悔の念が渦巻いている。

「私は小さい頃に婆様に拾われた。名前を付けてもらって育てて貰ってきたの。」

何度か尋ねたことはある、自分の親はどこにいるのか誰なのか。

しかし首を横に振ってはいまは自分の孫だと彼女は告げるだけだった。

婆様がいる、レプリカがいる、毎日が穏やかで楽しいことが何よりの幸せではないのかと次第に思うようになったのだ。

そしてリュナは自分の親に対する興味を封印した。

「やっぱり知っておくべきだったんだわ。」

誰にも知られないように生きていくことに疲れた頃にカルサと出会った、そして生きていく希望を見いだせた。