カルサの視線が痛い。

まるで絶縁状を突きつけられるかのような雰囲気にリュナは震えが止まらなかった。

「リュナ。」

名前を呼ばれただけで身体が大きく跳ねる。

不安に満ちた表情はすがるようにカルサに向けられているが、カルサはあえて見ないフリをした。

「お前は…自分の中に魔性の血が流れていることは知っていたのか?」

瞬間に目が大きく開きリュナの世界から音が消える。

「…いいえ。」

やっと絞り出した声と共にさっきまで抱えていた不安を手放し、リュナは脱力感に襲われた。

震えているからなのか指先にでさえも力が入らず自分ではどうしようもない。

「以前…社がお前から魔性の気配がすると言っていた。」

「魔性の気配?」

「気配がすると言っても可能性は色々ある。魔物であること、寄生されていること、邪竜にとりつかれていること。症状からして…。」

カルサは言葉を止めてリュナを見た。

どこを見ているか分からない目は自分の意識の中へ入り込んでいることが分かる。

思い出しているのだ、自分に起きた症状を。そして照らし合わせているのだ、魔性の生き物との特徴を、そして。

「魔物…。」

カルサが言わんとすることを察してリュナは自ら答えを出した。

社が言っていた、それは実に生々しくリュナの心をえぐっていく。