リュナは身体を押し退けるようにしてカルサをすり抜けてすぐさま間合いを取り再び構えた。

それと同時にカルサの刀がリュナの刀を追って重なりあう。

完全な体勢ではなかったリュナの手は突然の強い衝撃に大きく揺れた。

目の前にはカルサがいる。

「はあっ…はあっ…。」

リュナの息が弾み、体力の低下を素直に表した。

刀を押すようにしてリュナを遠ざけるとカルサは再び勢いを持って打ちつけ始める。

負けじと応戦するが劣勢になりつつある気配は十分に感じ取っていた。

受けるだけで打ちつける隙は出来ない、これではいけないとカルサの剣筋を読みつつリュナは反撃を仕掛けた。

最初と同じ様に身体全体を使って体重を刀に預けてカルサの刀を弾く、そして瞬時に屈み足払いをしてカルサの体勢を崩そうとした。

しかし後方に飛ぶことでカルサはそれを回避する。

体勢が整わないままのリュナに刀を突き出すようにして斬りつけた。

身体を斜めにしてなんとか避ける、しかし突き出したままのカルサの刀はそのまま引き返すどころか方向を変えてリュナの方に寄せられ、やがて。

「取った。」

リュナの首の真横で動きを止めた。

顔を動かすことが出来ず目だけで確認すると刃が逆さを向いていることに気が付く、それは峰で打ち取ったということだ。

肩で息をするリュナに対し、カルサも呼吸こそ乱れているもののまだ余裕があるように見えた。