「お受けします、陛下。」

リュナの言葉に口角を上げるとカルサは静かに構えた。

緩やかな動きだったが隙のない出で立ちに訓練刀を持つリュナの手に力が入る。

かかってこいと、その姿で言われている気がした。

「行きます！」

迷いを吹っ切る為に声を張って足を蹴り出す。

右手に持っていた刀に左手を添えて、下から振り上げる様にカルサに斬りかかった。

腰をおとして飛び上がる力と遠心力と速度を利用し刀に重みを与えて振り上げる。

迎え撃ったカルサの刀とぶつかり、威勢のいい音が訓練場に高く響いた。

手が痺れるほどの衝撃にカルサの目が大きく開く。

互いに力を押し合う中で軋む音が緊張感を伝えた。

自身の身体が軽いと分かっている分、付け足せるもの全てを利用して力を上乗せして相手にぶつけているようだ。

「思った以上だな。」

カルサの言葉にリュナは何も答えなかった。

一度弾きあうように離れた二人は、カルサの斬りかかりにより再び激しい打ちあいが始まる。

カルサが前へ前へと斬りかかりながらリュナを攻めていく中、後方へ下がりながらもリュナはカルサの刀を払い体勢を整えようとした。

そして右足に力を入れて踏ん張り、尚も前へと攻めてくるカルサの懐に入る。

そのまま身を屈めて左足を踏み出し左肩を出すようにしてカルサの腹部に体当たりをした。

頭上でカルサが息を飲んだのが分かる。