「特殊部隊の訓練も目をみはる程に成果が出ていると皆が褒めていたぞ。」

「そんな…。でもお役に立てて嬉しいです。」

謙遜はするが褒められたことが素直に嬉しくてリュナは頬を薄紅色に染めた。

毎日のように聖や隊員から感謝の気持ちを貰っているせいか、それなりの働きをしているのだという自覚もある。

そしてこうやってカルサの耳に届いていることも誇らしかった。

少しは役に立てている、その実感を得られて安堵と共に達成感もあるのだ。

カルサの役に立つその為にリュナはここまで来たのだから。

「リュナ、手合わせしよう。」

突然の申し出にリュナは目を大きくして瞬きを重ねた。

「力の使用は無しだ。剣技のみで勝負する。」

うまく反応出来ないリュナの手に風玉を戻すと、カルサは壁に立て掛けてある訓練刀を取りに行く。

二本の内の一本を差し出された頃にようやく思考が回り始めてリュナは慌てて受け取った。

籠を下ろして改めて訓練刀を見つめる。

カルサは訓練場の中央あたりに移動して軽く構えるような仕草をした。

「身体が鈍っているかもしれないが、ここで負けると格好がつかないな。」

「あ、あの…っ!」

「悪いが付き合ってくれないか?」

その言葉に出かかっていた気持ちを飲み込んだ。

どういう感情だったかは分からないが、気持ちを大きく揺らされたのは確かだ。