「本日より陛下付けの側近に就きますエプレットです。」

老大臣ハワードの説明に敬礼をし、エプレットと呼ばれた青年は背筋を伸ばした。

一人で執務作業をしていたカルサに新しい側近を連れてハワードがやって来たのは突然ではない、しかしうっかり忘れてしまっていたカルサは僅かながらに意表を突かれた形で出迎えることになった。

不覚にも瞬きを重ねて何事かと疑問符を浮かべてしまったのだ。

誰がいつ就くか、事前に報せは受けていたが実際にその日を迎えてようやく実感を得る。

見覚えのある顔にカルサは軽く頷くと執務用の椅子から立ち上がった。

「特殊部隊に所属していたな。」

「はっ!」

カルサの問いにエプレットは威勢よく答え、精悍な顔つきのまま怯まずにまっすぐ向けられるカルサの視線に答えた。

以前何度か言葉を交わしたことがあるような気がする。

その時とよりさらに緊張の面持ちで立つエプレットにカルサは微笑んだ。

そんな彼に配属したてのナータックの姿を重ねて懐かしむ。ナータックも年下相手だがそれはえらく緊張していたものだった。

確かにかなりの年下とはいえ相手が国王ともなれば当然かと懐かしい記憶が思い出される。