うまく説明が出来ない焦りが貴未の中に生まれ、自然と対策を打つように両手が暴れ出した。

「つまり、えっと何が言いたいかって言うとだな。」

「なんや。」

「俺がシードゥルサに行ってから…あの国では二百年近く経ってた。」

聖の目が大きく開く。

予想もしない数字に驚いたのか、そんなことがあるのかと疑っているのか、どちらにせよ嘘をついていない様子は貴未の顔を見れば分かった。

「お前…せやけど知り合いに会うたて…。」

「そこね。俺の故郷はヒの国とは違う空間にあんのよ。故郷自体はシードゥルサと同じような時間の流れだった。」

でも、そう続けようとするところで貴未は考えるように口を閉ざす。

それはおそらくどう伝えようかと思案しているのだと見て取れた。

「俺は…昔からこういう力を使っていろんなところに飛び回っててさ。特によく行っていたのがヒの国の近くにあるリンという国だった。」

「…聞いたことある。」

聖の反応に微笑むと貴未はさらに言葉を続ける。

「俺が最後に居たのはリンの国。そこで友人と会ってた。リンの国から故郷に帰ろうとして…シードゥルサに迷い込んでしまった。」