少なくとも貴未が訪れていた場所では、そう付け足すと聖は軽く何度か頷いた。

納得したのかそうでないのか分からないが思うところはあったようだ。

これ以上は向こうから細かい質問をされないと答えようがない、聖の口が開くのを待とうとする貴未はその体勢に入る寸前思い出したことがあった。

必要な情報の一つではないかと勘が働いたのだ。

「そうそう。聖たちと俺ってさ、この国に来た時期はそう変わらないじゃんか。だから多分…計算としてはいいと思うんだけど。」

意図が読めない前置きに聖は目を細めた。

「俺の故郷はヒの国の近くにある国が入り口になっていて…空間が違うから故郷は故郷で時間の流れが違うんだけどさ。」

「なんや?」

何が言いたいのかいまいち掴めない聖の眉間は深さを増していく。

空間によって時間の流れ方が違うこと、おそらく聖はそのことを知らないだろう。

「シードゥルサとヒの国って世界が…空間が違うだろ?だからそれぞれの空間での時の流れには違いが出てくるんだ。」

聖の目がさらに細くなって疑問符を浮かばせる。