知っているようで知らない、そんな関係で今までやってきたのだ。

「誰にも言ってないよ。誰にも。そのあと何も聞いてないから詳しくも知らない。」

貴未が足を動かして聖と向かい合う体勢を取る、いつの間にか落ちていた視界に映った貴未の靴を見て聖は顔を上げた。

力を失くし揺らぐ聖の瞳に貴未は真正面からぶつかってくる。

「俺からは聞かない。だから俺も言わない。」

何故ここに戻ってきたのか、やりたいこととは何なのか、それが聖たちの今後にどう関わっていくのかは分からないが手の内を明かす訳にはいかなかった。

軽々しく話すにしては繊細すぎる内容だ、それに自分一人だけの話ではない。

カルサと同盟を組んだということは貴未にとって大きな決意の表れだったのだ。

この先もカルサを裏切らないという誓いの証でもあった。

「聖、本当に聞きたいのは何?」

彼が一体何を知って自分を安心させたいのか、構える手段を考えたいのか貴未には分からなかった。

しかしどうも本質は違うような気がしてならない、答えられるか分からないが解決するかもしれないのだ。