あくまでも尋ねられたことだけに答える、語尾でさえも飾りを付けず貴未は射抜くように向けられる視線を受けて立った。

表情は笑みを崩さない。

他に尋ねたいことはなんだと堂々たる姿勢で構えるその態度に余裕を感じ、また自分の余裕を奪われていくようで聖の眉間にしわが深くなった。

「やりたい事ってなんや。カルサに関わることなんか?」

「それは秘密。」

からかわれている、言葉だけを取るとそう感じてしまい聖の拳に力が入るが貴未の様子からしてそうではなかった。

からかっている様子はないが、はぐらかされているという感覚は消えていない。

もっと言うなれば聖にだけは言えないとするような姿勢に微かに苛立ちが重なった。

「カルサに言えて…俺には言えんのか。」

「そうだな。俺はカルサに隠し事したり嘘付けないや。」

「なんでや?」

貴未の言葉にかぶせるように聖の声が強く発せられる。

焦りや憤りを感じられる態度ではあったが貴未はそれらを受け流す様に視線を落として考えた。

言うべきか否か、貴未の中で小さな葛藤が生まれたがそれはすぐに消える。