自分が能力の使い方を教えると手を挙げたのが始まりだった。

「リュナが戻ってきてくれて助かったな。」

しみじみと呟く貴未に聖も頷く。

リュナが入隊した時、特殊部隊は結界を張る為の遠征に出ており誰もいなかった。

暫くは他の部隊と訓練を共にし、それは調査から帰ってきた貴未と合流したあとも変わらなかった。

やっと戻ってきた遠征部隊と合流するが、まもなくリュナは風神としての仕事を始める。

そうこうしている間に先の襲撃にあい、リュナは封印されてしまった。

目覚めた後も体調は優れず暫くは療養が続いたが、ようやく回復して復帰ができた。

そして特殊部隊が抱えている問題に気付いて手を挙げたのだ。

幼い頃よりレプリカと共に力を身に付ける修行をしていたリュナにとって、教えるという行為は苦ではない。

想像していたよりも厳しめだったが成果は確かにあった、新しく入った兵士も長く所属する兵士も皆それぞれの力を使えるように成長したのだ。

元々在籍していた兵士がタルッシュとエプレット、当初は貴未と聖、紅を含め五人で活動をしていたことを思うと二人の成長は聖たちにとっても嬉しいものだった。