「これ、リュナのおかげ?」

「せや。俺ら力の使い方はどうも上手いこと教えられんかったけど…リュナに頼んだらあっちゅう間に上達しよってん。」

ふーん、と感心の声を漏らした貴未の視線は再びリュナの方へと向けられる。

そこでは何とか立ち上がった兵士たちにもう一度訓練を仕掛けるリュナがいた。

あんなに凛々しい姿を見るのも久しぶりだ、やはり戦いの場にいると彼女は一人の戦士になるのだと貴未は改めて思った。

「結構…激しいな。」

「やろ?俺も意外やってん。」

疲労の顔を並べた相手にも容赦なく訓練を続ける姿に男二人の低い声は届かない。

普段のリュナからは想像も出来ない厳しさと逞しさはいろんな意味で兵士たちの体力を奪っていく。

きっと最初は油断していた者も多かっただろう。

一人、また一人と吹き飛ばされ倒れていくが、またもタルッシュだけは何とか耐えていた。

「タルッシュは凄いな。」

「うちで今一番やる気あるんはタルッシュやろな。エプレットに追い付こ思てるんやろ。」

「あ、今日からだっけ。」

貴未の言葉に聖は頷く、そして表情を歪めながらも必死でリュナに立ち向かうタルッシュの姿を見つめた。