さらに深い記憶を呼び起こして気になる言葉の理由を探していく。

「沙更陣様が仰っていたのも確か…魔界だった筈よね。」

彼女のその言葉を、誰にも聞こえない程小さく漏らした声を聴いていたのは人知れず傍で控えていた瑛琳だった。

「リュナ様、どうかされましたか?」

バルコニーで佇むリュナの許に傘を差しだしながらレプリカが声をかける。

雪はどんどん降り積もりリュナの頭にもうっすらと山を作り始めていた。

「何でもないわ。さ、訓練に行かないと!気合を入れないとね。」

拳を掲げるリュナは足早に部屋の中へ戻っていき、その気合のまま訓練着に着替えて部屋を後にした。

特殊部隊が集まる訓練場では既にいつも通りの訓練が始まっている。

リュナは急いで向かったがやはり開始時間には間に合わなかった。

「遅くなってすみません。」

指揮を執る聖に頭を下げると片手を挙げて彼は答えて声を張り上げた。

「集合!」

素早く切り上げあっという間に聖とリュナの前に隊列が組まれる。