「魔界とはどんな役割…。」

「陛下、そろそろお時間です。」

後方から声がかかりカルサとリュナは同時に顔を上げて目を向けた。

言いかけた物を飲み込みリュナはカルサに道を開ける。

「分かった。」

短い返事をすると改めて向かい合い、腰元の剣に結った飾りに手をあてる。

「ありがとう。あまり無理しないように力を発揮してくれ。」

「はい。懸命に励みます。」

笑みを浮かべドレスの裾をつまんで深々と頭を下げるリュナにカルサは頷いて歩き出した。

去っていくカルサの背中を見つめてリュナはさっきまでの会話を思い出す。

「魔界、か。」

心に残ったのはその言葉だった。

何かまだ伝えたかったことを聞けていないような気がして唸り声をあげる。

しかし何の未練もないように去っていった様子からすると話はもう終わりなのだろうか。

そしてそれとは別にリュナの中にある一つの出来事が思い出され、また唸り声をあげた。