しかしリュナは、今まで当たり前のように光溢れるこの場所で人と暮らしカルサの傍で生きていた。

リュナが魔物であれば有り得ない事だ。

では封印された時に何か起こったのか、しかし呪も術の気配も感じられないという事は魔性の力を植付けられた訳ではない。

考えれば考えるほど分からなくなるだけだった。

「何が一体どうなっている…?」

額に手をあて、ゆっくりと身体を後ろに反らして頭の中を整理しようと試みる。

社の様子から気のせいでも間違いでもないようだ。

おそらく彼女はここにくるまでに散々考えを巡らせ何度も確かめたのだろう。

そしてようやくカルサに告げたのだ。

「主の両親は…人か?」

「いや…分からない…。」

リュナと出会ったとき彼女は風占い師である風蝶の婆と暮らしていた。

いつだったか家族のことを聞いてみたこともあったが、祖母とレプリカと暮らしていたと言っている。

祖母と呼ぶ風蝶の婆が彼女と血縁関係があるのかも分からないし、両親の行方ももちろん知らなかった。