一言一句聞き逃さないように、忘れないように深く胸に刻む準備を瞬間的に整えるのだ。

「中心世界オフカルスの他にも特別な役割を持った世界があって、それらはオフカルス同様に特別な空間に存在しているんだそうだ。勿論、神官を送り出した世界自体も特別なものだがまた別の特殊さを持っている世界がある。」

「特別の…さらに特別ですか。」

「別格ということだな。オフカルス、界の扉の間、界の扉の管理室、カリオ。」

最後に出された名前に反応し、リュナは同じ言葉を小さく呟いた。

「貴未の故郷だ。この前まで日向と共にそこへ行っていた。」

「貴未は帰れたのですか！？」

どうやっても帰れないと聞いていたリュナには驚きの事態だった。

思わず身体が反応して足を踏み出しカルサとの距離を縮める。

カルサの小さな頷きに驚きを消化しながら踏み出した足を戻してまたカルサとの距離を設けた。

「少し前に何人かから貴未がどこにいるのか尋ねられたのですが…そうでしたか。貴未はカリオに…。」

驚きが喜びへと変わりリュナの表情が次第にほころんでいく。