リュナの風をあてられた飾りはさっきより増して風の力を秘めたものになっているのを感じる。

「ずっと集中して編んでいたからでしょうか、前より力を操れるようになったんです」

カルサが口にするよりも先にリュナが恥ずかしそうに説明をした。

怪我の功名と言いますか、そう付け足すと近付きすぎていた距離を取るように一歩後ろへ下がって頭を下げた。

今はこの距離を保たなくてはいけない、改めて気付かされる立場にカルサも黙って見守る。

そして改めて手の中にある風の飾りを見つめてカルサは思った。

「戦いに身を投じていなくても人の命は確かなものとは言えない。」

それは誰を思っての言葉だったのか、少しの可能性を感じた人物はいたがそれを確かめることはリュナには出来なかった。

しかしおそらくそうであろうという道標を見付ける。

カルサは腰元に装備している剣の金具にリュナの飾りを結びつけたのだ。

それは先代の王が使用していたというカルサの父親の形見の剣だった。

不慮の事故で失った命の欠片がいつも傍にある。