少しでも影に入ればそれはより鮮明に表れる、まるで夜行性の獣が持つ夜目のような鈍く怪しい光を放つのだ。

幸いにもまだ暗闇で彼女の瞳を見た者はいない、リュナには常に顔を明かりで照らすよう予めカルサが指示していたのだ。

それは上に立つ者としての周りへの配慮だと嘘をついて。

今も僅かな日陰だがその目の輝きは異質な光で灯している。

カルサの頭の中で繰り返し思い出されるのは社のあの言葉だった。

リュナには魔性の気配がする。

それはリュナに魔物の血が入っているということだ。

以前カルサがリュナの両親について尋ねてみたところ、彼女は分からないと寂しげに首を横に振っていた。

同時に反応を見たくてレプリカがいるときに聞いてみたが傍にいる彼女も寂しげに微笑んでいるだけで、やはりレプリカも分からないという答えだった。

レプリカには思うところがあるようにも感じられたが、二人とも嘘をついているようには見えない。

真実はリュナの中にあっても彼女には見付けられないのだ、それではどうしょうもなかった。

しかし欠片を見つけることなら出来るかもしれない。

「また近いうちに降ってきそうですね。」