シードゥルサの王城の奥に位置する場所、訪れる人を制限する場所にナルの部屋はあった。

国付の占者としてカルサに仕えるナルはこの部屋から出ることがあまりない。

いまも部屋の前に紅を付けて一人部屋に閉じこもっていた。

目の前にあるのは等間隔に並ぶ複数枚のカード、その前に手をかざしナルは目を細めていた。

深みのあるしわが彼女の年齢の高さを感じさせる。

「裏切りの刀。」

一枚のカードを手にして呟いた。

それはカルサとリュナが総本山に行くときに告げたカードの名前でもある。

何度やり直しても彼らの行く末に現れるこのカードにナルの表情は険しくなるばかりだ。

ため息をつくことでさらに事態は悪くなる気がしてその思いを飲み込んだ。

そして向こう側に紅がいるであろう扉を見つめて口元に力を入れる。

願わくば、願わくば、どれほど思い念じただろうか、しかし無情にもその思いは未だに叶えられない。

「しっかりしなさい…。」

そう呟いて顔をまっすぐ上に向けて天井を仰ぐ、しかし彼女は瞳を閉じたまま何の景色も移さなかった。

「導くのよ。」

自分に言い聞かせるように何度も呟く言葉は彼女の焦りを表しているようだった。