「マチェリラに記憶を見せてもらったんだけどさ、今度はカルサに記憶でも見せてもらおうかな。」

「ああ?」

「リュナとどんな感じの関係を築いているのか知りたいじゃん。べたべた?」

身の毛がよだつとはこのことだろうか、カルサは全身の毛穴が開いたような感覚に寒気がして逃げ出そうとした。

明らかにネタにしてよからぬ輩との酒の肴にするつもりだ、そうなれば全てが終わる。

「詮索無用だ!お前は永に集中しろ!」

「してるよ何年も。で?実際はどこまでいってんの?最後まで?結婚する?あ、出来ない?どんな感じで話したりすんのよ、そのまんまの不愛想か?」

「…余計なお世話だ。」

不愛想の部分が引っ掛かりカルサはその通りの表情で低い一言を貴未にぶつけた。

握手をしたままの近い距離で貴未はこれ以上ない満面の笑みを浮かべて瞳を潤す。

「さっきの口ぶりからすると…カルサは信じられることが辛いのかもしれないけどさ。」

一瞬曇らせた表情もまた吹っ切れたように笑顔に変わって貴未は続けた。

「俺はカルサが好きだよ。」

手から感じる体温が温かい、カルサは自分の顔が熱くなっていくのを感じて空いている方の手で口元を隠し目を逸らした。