「永を探すにはカルサの傍にいるしかない。それにカルサにとっても俺の力は役に立つ。」

そこには今までと違う関係が始まろうとしている入り口がある。

何かが変わろうとしている。

カルサは貴未の手を見つめた。

「真意はなんだ?」

カルサの言葉に貴未は手を下ろした。

さっきまでの柔らかな空気はどこか、互いに探りあうように目を合わせて逸らさない。

「マチェリラに言われた。信じるなら裏切られる覚悟もしろって。」

カルサは黙ったまま、貴未の次の言葉を待った。

「玲蘭華も俺の力を狙っている。御劔の王が俺を狙っているんだ。そう簡単に信じる事はできない。」

貴未の声はいやに耳に響く、それはどうにも出来ない事実なのだ、カルサは目を閉じてゆっくりと頷く。

「それでいい。人を信じてもその倍の重さで人は簡単に裏切る。」

カルサの言葉を聞いて貴未は彼の過去を思い出していた。

自分の欲を満たす為だけに近付き平気な顔で裏切る人は彼の周りには沢山いたという話は何度か聞いたことがある。