しかしそれは解放しようとしていたのではなく、我慢できずに零れてしまったものだとカルサは認めたくなかったのだ。

「強がることに慣れすぎるのも考えもんだな。」

言いたくても言えない、思うことだけは自由だろうとカルサはずっと心の中だけに留めているのだ、そう貴未は悟った。

変わらずに強がって己を見せないカルサの信念に涙が止まり笑みがこぼれた。

彼はいつも、自分を許そうとはしないのだ。

それは何とも儚い自尊心だろうか。

ならばそれをたてるのが自分のやるべきことだと理解する、涙を服で豪快に拭うと貴未は立ち上がり空を見上げて呟いた。

「この広い世界の中。何で力はカルサを選ぶのか、だよな。」

カルサも同じ様に立ち上がり空を見上げた。

この広い世界、限りなく存在する世界の中でなんて考えるだけ無駄だ。

「呪いみたいなもんだ。」

まるで吐き捨てるように呟いた言葉は今までと色が違っている。

そこには義務感や窮屈な気持ちはない、開放的なむしろ他人事のような気持ち。

ほんの少しだけでもカルサは視点を変えた。