自嘲気味に口角を上げると慣れたように口を開いた。

「それは俺が…。」

「太古の国の皇子だから?そんなの理由じゃないだろ。」

常套句のカルサの答えを貴未は真っ向から否定した。

それでいつも諦めていた、それを前提に全てを義務としていたのだ。

しかしそれが答えじゃないと、まっすぐに否定して貴未は言った。

「それが答えになるのはカルサが優しいからだ。」

カルサは何も言えなかった。

「力を持っていて勇気があるからだ。」

貴未の声は容赦なくカルサの内側に入り込んでくる。

それは今までに感じたことのない風だった。

カルサの黄金の瞳が揺れる、言われたことの無い諭しはどんな救いの言葉よりも胸に響いて刻み込まれた。

「カルサに負荷があるのはカルサの優しさや強さに甘える奴がいるからだ。それをカルサが受け止めているから負荷が高い、それだけだ。立場なんてこじつけにすぎない。」

貴未の真っすぐな姿勢はカルサには眩しすぎる。

何とも言えない感情が込み上げて、それでは敗けだと分かっていてもカルサは思わず視線を逸らしてしまった。