不安と切なさとが重なり合って自然と表情も歪んでしまうのは今に始まったことではなかった。

抱き合うことがお互いの逃げ道のようになる時もあるのだ。

苦しい表情を見せるのは好きではない、だからこうして抱き合うことでお互いの顔を隠せることに気付いていた。

もう既に次の段階は始まっているのだろう。

封印した筈の二人が今目覚めているにもかかわらず、あの侵入者たちはなんの動きも見せなかった。

まだ気付いていないなど有り得ないこと、様子を伺っているのかそれとも動いているのか、泳がされているか。

いずれにしても何の目的で殺さずに封印したのかが見えてこなかった。

生きているのが不思議とさえ思えるくらいだ。

そして生きていることが幸運なのかさえ疑いたくなるような不安が常に付きまとう。

「ラファルはどうしてるの?」

「ナルが話をしたいとかで連れていったままだ。」

リュナの問いに答えながらカルサはゆっくりとリュナをベッドに寝かせた。

呼吸が浅くなり少し曇りだした表情を見ての判断だろう。

今日は天気がいい、普段なら喜んで中庭に散歩にでも行くところだが今では状況が違う。