マチェリラは何かを伝えようとしている、そう感じた貴未は手を差し出した。
「分かった、行こう。」
マチェリラは安堵したように微笑んで貴未の手に自分の手を重ねる。
「軌跡は私に委ねて。」
マチェリラのその言葉を最後に二人は部屋から消えた。
残されたのはカルサと千羅だけ、沈黙が生まれるかと思いきやカルサがすぐに口を開く。
「すまない、千羅。助かった。」
「…いいえ。」
千羅がカルサから素直に感謝の言葉が出たことを驚いている中で、カルサは手で顔を覆い壁に背中を預けた。
それは一種の解放感だろう、長く息を吐く音が聞こえる。
不安定な感情が巡るが来るべき時が来たのだと、カルサは何度も自分に言い聞かせていた。
顔を合わせにくいのは自分の方、以前のように接することが出来ないのもカルサの方だった。
もしまっすぐに貴未が自分を見てきたら、きっと目を逸らして逃げてしまう。
貴未のあの反応で助かったと思う自分に情けなくなった。
これ以上自分の過去を知られたくはない、そうなる前に全てを清算してこの国を出るつもりだったのだ。
「分かった、行こう。」
マチェリラは安堵したように微笑んで貴未の手に自分の手を重ねる。
「軌跡は私に委ねて。」
マチェリラのその言葉を最後に二人は部屋から消えた。
残されたのはカルサと千羅だけ、沈黙が生まれるかと思いきやカルサがすぐに口を開く。
「すまない、千羅。助かった。」
「…いいえ。」
千羅がカルサから素直に感謝の言葉が出たことを驚いている中で、カルサは手で顔を覆い壁に背中を預けた。
それは一種の解放感だろう、長く息を吐く音が聞こえる。
不安定な感情が巡るが来るべき時が来たのだと、カルサは何度も自分に言い聞かせていた。
顔を合わせにくいのは自分の方、以前のように接することが出来ないのもカルサの方だった。
もしまっすぐに貴未が自分を見てきたら、きっと目を逸らして逃げてしまう。
貴未のあの反応で助かったと思う自分に情けなくなった。
これ以上自分の過去を知られたくはない、そうなる前に全てを清算してこの国を出るつもりだったのだ。