「サルスパペルト様にと言い遣って参りました。」

深々と頭を下げるレプリカの姿にサルスは目を細める。

「二人きりの場で俺にそんな事はしなくていい。今までのように接してくれないか、堅苦しくてたまらない。」

サルスの言葉に少し考え込んだ後、セーラは頭を下げたまま静かに首を横に振った。

「いいえ。貴方様は紛れもなく高貴な血を受け継ぐ王家のお方。私のような女官とは本来言葉を交わすことも叶わぬお立場なのです。」

「レプリカ、それは違う…。」

「いいえ、違いません。」

サルスの言葉をレプリカは優しい声で強く否定した。

頭を上げてまっすぐにサルスと向き合う。

これだけは伝えなくてはいけない、そんな想いがレプリカにはあった。

「貴方様には高貴な血が流れているのは事実。その確かなものは消せるものではございません。自身の存在に誇りをお持ちください。」

その言葉の意味を、そしてレプリカの気持ちはサルスには伝わっていた。

しかしサルスは物心付いたときからカルサの影として生きていたのだ。