一人になるのが怖いとさえ感じるようになりがむしゃらに働き続ける。

余計な事を考えすぎて気持ちが下に向いてしまわないように、もう倒れるしかないところまで動き続けることした守れない時もあった。

苦しい気持ちを押し込めるようにサルスは胸元を掴む。

「失礼致します。」

まるで苦しむサルスを救うように扉を叩く音が執務室に響いた。

この声には聞き覚えがある、また彼女が暗闇から連れ出すように声をかけ手を伸ばしてくれたように感じた。

「殿下、レプリカにございます。」

入るように促すと重い扉はゆっくり開かれレプリカが車輪付きのカートを押しながら入ってくる。

サルスの姿を確認すると扉を閉めて、長いスカートの裾をつまみ改めてお辞儀をした。

「お茶のご用意をお持ちしました。」

「…カルサか。」

サルスは頼んだ覚えがないということはそうなのだろう。

どれだけの時間を苦悩に費やしていたかは知らないがカルサがリュナの部屋に行き、そこに居たレプリカがここに現れるまでの時間は経っていたということだ。