多くは語らずに圭は微笑んだまま貴未を見上げる。

最後の言葉を交わすと貴未たちは一瞬にしてその場から消えてしまった。

かすかに残った光は空へと上っていく。

まるで彼らが天に向かったかのように圭はそれをずっと目で追いかけて見ていた。

「圭、あの方々は?」

何か異変を感じたのか、気付かない内にキースが屋上に上がってきていた。

圭は空を見つめたまま、カリオへと呟きそっと口を閉ざす。

「…マチェリラ様はなんと?」

「昔馴染みの方に会われて嬉しそうでした。一緒にカリオへ。」

「そうか。」

キースも空を見上げた。

もう光の欠片も見えないが空一面にはいくつもの星たちが輝いている。

「今までありがとう、これからは自由にと。そう私に残して行かれました。」

圭の言葉を聞きキースは彼女に近づいた。

肩にそっと手をおくキースを見上げ圭は微笑んだ。

そして二人の視線はカリオかもしれない星空に戻っていった。