彼の背中が全てを語るのだ。

「話は終ったな、行くぞ。」

何も話さないハワードとの睨み合いが続いた後、カルサは彼の傍に寄って言葉を残した。

扉へ向かう背中にハワードの気配を感じる。

「陛下、城を空けられるのは雷神の仕事ですか?」

「そんなところだ。」

そう答えた後、カルサは会議室を出ていった。

足音が未練もなくだんだんと遠ざかっていく。

一人残されたハワードは深いため息を吐いた。

「何を馬鹿な…陛下は優しすぎる。」

その声は誰にも拾われることなく、ハワードも会議室を後にした。

カルサが国務に戻り、今までカルサに扮していたサルスは自分の姿を取り戻し再び秘書官として働いている。

カルサが目覚めてからそれなりの時間が過ぎていた。

それぞれもまた今まで通りの生活を送っている。

嵐を終えてまた平和な生活に戻ってきたのだ。